屋根知識

屋根のカバー工法をおすすめする理由をプロが徹底解説!

この記事をみて役立つ人

・現状、カラーベストで葺き替えを悩んでる人。
・見積を適正か判断したい人。
・屋根塗装で悩んでる人。
・カバー工法の知識をつけたい人。

おすすめするカバー工法の種類

金属横葺断熱材付きカバー工法

有名なメーカーでいうと、アイジー工業の「スーパーガルテクト」とニチハの「横暖ルーフ」の2メーカーです。基本的に、この屋根業界ではこの2つが提案として使われる事が多く、実際に施工事例も多い屋根材となります。

高耐久性ガルバ

性能的にはどちらもあまり変わりません。が、重要なのは高耐久性というところ。屋根材として多く使われるガルバ二ウム鋼板よりも更に2%多くマグネシウムを多く含まれており、それにより、3倍超の寿命があります。

充実の製品保証

「スーパーガルテクト」と「横暖ルーフ」の保証期間比較です。

安心の保証スーパーガルテクト横暖ルーフ
塗膜のヒビ・剥がれ等15年15年
赤サビ20年20年
穴あき25年25年

どちらも保証期間が長く、製品として優れているからこそメーカーも保証できます。
実際、メーカーが保証しているよりも全然耐久性があると思います。

どちらも「スーパーガルテクトフッ素」や「横暖ルーフaプレミアムs」と上位の材料もあります。「フッ素」を使用する事により、更に保証期間も伸びます。

安心の保証スーパーガルテクトフッ素横暖ルーフaプレミアムs
塗膜のヒビ・剥がれ等20年20年
塗膜変遜色20年20年
赤サビ20年20年
穴あき25年25年

断熱性能の向上

遮熱塗料

赤外線を遮熱する効果大きい遮熱塗料を採用されている為、日射による屋根表面温度を抑制します。反射熱をしないと、屋根裏や室内が熱くなります。

断熱材仕様
※スーパーガルテクトの構造

これにより、屋根の野地板表面温度が約10度も変わってきます。

塗膜と断熱材、更には鋼板の種類の3つの力で断熱性能が高いのです。

優れた耐風能力

実際、耐風性能が本当に強くて、近畿地方を襲った「平成30年台風21号」や関東を襲った「令和元年台風19号」に出向しましたが、この金属横葺断熱屋根材は、被害が本当に少なかったです。

実際のメーカーの検証でも、風速65mまでは飛散しませんでした。

以下、アイジー工業のスーパーガルテクトの耐風実験です。

※公式HPはこちらをクリック

施工方法について

施工前
施工中
施工後

施工手順

  1. 既設の屋根材の板金を外します。
  2. 防水ルーフィング(粘着式)を貼り付けます。
  3. 軒先やケラバ、谷に板金を取付していきます。
  4. 新しい屋根材を取付していきます。
  5. 棟板金を取付していきます。
  6. 完工

大きくまとめると6工程で工事が進んでいきます。

①棟板金の取外し

※棟板金を外したあとの写真

後に防水ルーフィングを貼る為に、棟板金を取り外していきます。棟板金をめくると木(貫木)が表れてきますが、そちらも取り外して、屋根の頂点を露出させていきます。完全に屋根材の下の既存のルーフィングが見えてきます。年数も経っていると、防水としての機能が劣化しております。この状態だと雨漏れが発生していく為、取り外した日と同日に防水ルーフィングを貼り付けていきます。

②防水ルーフィングの貼り付け

※防水ルーフィングを貼り付けした後の写真

防水ルーフィングは軒先(下)から貼り付けしていきます。下から順に貼り合わしていく事で、全てが重なるようになっていきます。特に谷(屋根面と屋根面の間の凹み)があるところは、防水的にも弱い為、重点的に貼り付けしていきます。

図で説明していきます。

順序はこのように貼っていきます。

谷にまず一枚
重ね合わしていくように軒先
そのまま一周していく。

このように、全てが軒先から重ねていき、一周した後、また上に重ねていきます。そうする事により、既存の屋根に水の侵入経路をなくように仕上げていきます。水の流れを考える事は屋根の仕事としてはかなり重要となります。

ルーフィングの種類も重要!

既存の屋根の上にルーフィングを貼り付ける際、粘着式ルーフィングを使用ください。ここは特に重要となります。もし今、手元に見積書があるならば、ルーフィングの種類は必ず確認しましょう。良くない業者に当たると、粘着式のルーフィングじゃない可能性があります。

粘着式のルーフィングは、ペタッと屋根に貼っていく事ができて、既存の屋根を傷めません。

粘着性能がない場合、カラーベストが下にあるという事は、釘等で止めていく事になります。もちろんカラーベストを貫通していきますので、のちに雨漏れの原因となる恐れがあります。

貼り付けるところが構造用合板(12mmの平らな木)ならばホッチキスのようなもので、構造用合板の表面のみでルーフィングを止めれますので、問題ないのですが。

ルーフィングには、適材適所があります。

おすすめの防水ルーフィングは?

上記は田島ルーフィングのタディスセルフとなります。
※参照HP田島ルーフィング

タディスセルフならば、粘着式で防水性能も問題ありません。こちらの防水ルーフィングにも等級があり、タディスセルフアーマ等、価格は高くなりますが上位のものもあります。

価格面も相談した上で、しっかりと検討してください。

③唐草(軒先)やケラバに板金を取付

※板金を取付した後の写真

本体を貼る前に板金工事が必要となります。

・唐草(軒先)取付
・ケラバ取付
・谷取付
・その他(トップライトや煙突がある場合)

重要なのは、唐草(軒先)板金になりますので、こちらを解説していきます。

唐草板金の種類

屋根の軒先に取り付る板金となります。
軒先に沿って取付をしていきます。

スーパーガルテクト(アイジー工業)の商品で説明していきます。

唐草だけでも5種類あります。

唐草G50は、主に新築用もしくは、葺き替えの時に使用します。

改修用唐草D
カバー工法で使用します。カバー工法の場合、一番ポピュラーに使用されますが、改修用唐草Dは軒先がカラーベストの上に重なる分、雨の滑り方が変わる為、樋調整が必要になる場合が多いです。樋を替える場合におすすめです。

改修用唐草SB
軒先から少し距離が延びる為、樋を交換しなくても大丈夫な唐草となります。樋交換をしない場合はこれを選定しましょう。

基本的にはこの3つを知っとけば大丈夫です。

カバー工法の場合は、しっかり業者さんに雨樋を交換しなくても大丈夫か返答を貰いましょう。後々、雨が雨樋に入らなくて、問題が起きないように知識として蓄えておきましょう。

④本体の貼り付け

本体に取付は、基本的にはビスを使用していきます。

気を付けないといけないのは、屋根上加工での鉄くずの飛散です。この鉄くずの飛散を放置していると、錆や穴あきの原因となります。屋根だけではなく、壁や室外機やベランダの手すり・防水にも鉄くずが飛んでいる可能性があります。

ここだけは、しっかり気を付けておきましょう。
業者に一声かけとくだけでも、全然変わります。お客様と施主側、2つの角度からしっかり工事後の鉄くずは確認しておきましょう。

⑤棟板金取付

棟板金は屋根の頂点のところです。

これを納めて屋根上の工事は完了します。

棟板金は1本につき2.7mあります。これを10㎝程重ねて次の棟板金を取付していきます。その際に重なっている内側に変成コーキングを使用し、防水と接着の効果を更に増します。業者によっては、更に上から重なっているところにもコーキング処理しています。

見積金額について

70㎡を目安に見積書作ってみます。
実際の項目に近づけてみますので、参考にしてください。

項目数量単位単価合計
ルーフィング(粘着)70100070000
本体取付708000560000
棟包み板金14250035000
ケラバ板金15180027000
唐草(軒先)板金24150036000
壁際板金5.5200011000
谷板金20008000
仮設足場設置250800200000
諸経費3000030000
合計977000
税込合計1074700

地域や状況、形状や勾配により、金額の変動はあると思いますが、おおよそこの価格が中央値だと思います。是非参考にして下さい。

カバー工法ができない屋根もある。

築年数40年以上

あくまでも目安ではありますが、築年数40年以上は取付ができるのか、要検討となります。ひとつの判断基準ですが、この年数を屋根メンテナンスしていない場合、下地(屋根材の下)がかなり弱ってしまっている可能性があります。

強度をしっかり確認した上で、施工可能となります。

下地が弱っていた場合は、もはや葺き替えとなります。

積雪地区

基本的には、緑色の積雪地区は施工不可となります。あとは沖縄等の離島も施工不可です。

ただし、※長野県・山梨県・北陸・京丹後地域・滋賀県に関しては、別途施工基準がありますので、全てが施工不可ではありません。

見積を依頼する時には、要注意箇所となります。

勾配制限と長さ制限

屋根勾配長さ
2.5寸以下施工不可
2.5寸~3.5寸7mまで
3.5寸以上20mまで

屋根の勾配は、お家の図面に書いてあります。

参考までに、勾配の感じ方は、

1~2.5寸=ほとんど、勾配を感じない
2.5寸~3寸=素人でも全然立てる
3~5寸=屋根にいるのが怖い、熟練者は平気
6寸=まず立てない、熟練者でも怖い

6寸以上=もう滑り台。立てるものではない。

おすすめしないカバー工法の種類

差し込み葺き

差し込み葺きとは、カラーベストの間に差し込んで、接着剤等で固定させていく工法となります。おすすめしないとはいえども、メリットもしっかりあります。

メリット

工程がすくない工期も短い。
材料費・人工もかからない為、安い。
外観も綺麗になる。

デメリット

防水シートを新しく貼る工程が無い為、既存の古い防水シートのまま。
カラーベストは隙間から必ず、少量の水は入っています。
屋根本来の防水性はルーフィングにある為、ここが不安点となります。

立平葺き

立平葺きのカバー工法の話をたまに聞きます。こちらは、ガルバ二ウム鋼板を使用した板金になりますが、下地が構造用合板ならともかく、カラーベストのような凹凸のある屋根材の上には貼るのはおススメ出来ません。

板厚は「0.35mm~0.5mm」がありますが、下地がカラーベストの場合、歩くと凹跡がついていく可能性があります。

メンテナンスを考えると、後々後悔する事もありえます。

立平葺きをする場合、下地を構造用合板にしましょう。

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